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よんきゅ部屋

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電車で一人旅(四国編その1)

念願の一人旅!1泊2日の日程、鉄道で回れるという条件、気候の良さなど、各種条件を勘案した上で、場所は四国に決定した。高松と徳島についてはすでに行ったことがあるので、今回は松山と高知に行くことにした。

3月24日、快晴。新神戸駅7:47発の「のぞみ39号」で岡山へと向かう。指定席を取っていったのだが、ビジネス客が多く満員で少々驚いた。サンドイッチを車内販売で購入し、食べ終わってまもなく8:19岡山に到着。瀬戸大橋線の乗り場へと急ぐ。岡山駅には多くの路線が来ており、電車好きとしてはいろいろな車両を見ることができるのでワクワクする気分なのだが、乗り換え時間に余裕がないので、次に乗る「しおかぜ3号」へとまっすぐ急ぐ。

8:30定刻にしおかぜが出発。この列車では指定席客に対して検札をしないと車掌がアナウンスする。これもサービスの一環だというがその効果はよく分からない。通勤時間帯であることを反映してか、茶屋町までの単線区間で運転停車がやたらと多い。すれ違うのは快速「マリンライナー」である。前の席にはフィリピンからのツアーと思しき4人の乗客、すれ違う列車の色を見るたびに「カラフル」を連発。また、通り過ぎる景色の中に大きな看板が出てくると「ビューティフル」を連発。それが地元のパチンコ屋の看板であってもである。まあ、楽しそうなのでそれもいいかなと思う。茶屋町を過ぎて複線区間になってから列車はスピードを上げた。

児島に停車後、トンネルを抜けるといよいよ瀬戸大橋を渡る。天気がよく、海も穏やかで美しい。遠くの島までよく見える絶景である。また、すぐ下を見ると線路のすき間から海面が見える。朝日に照らされたエメラルドグリーンが美しい。しばしの空中散歩の後、宇多津に到着。高松から来る「いしづち7号」との連結作業、3分間の停車である。宇多津を発車後、海岸寺あたりで線路は海のすぐ横を走る。線路との間には道路もなく、まさに海と接する線路である。ここでも天気はよく、景色もよい。列車も多くあるカーブを気にすることなく高速で駆け抜けていく。

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<海岸寺付近>

そこからしばらくは川之江、伊予三島、新居浜、伊予西条と小都市が続き10分間隔でこまめに停車する。乗客は伊予西条あたりまでにかなり減った。壬生川から先は朝早かったせいもあって眠ってしまった。気づけば駅を通過中、駅名板を見ると「菊間」とあった。しばらくして11:10、松山に到着した。

当初の予定では、松山市内を観光してからローカル線の旅に出る計画だったが、松山から先の特急の接続がよかったため、予定をすぐさま変更し、内子を訪れることを決断。同じホームの前にいた11:18発「宇和海7号」に乗る。四国では同じホームの前と後ろに列車を止めるというケースを何度か見た。乗り換えのために陸橋を渡らなくてよいというのは便利だ。もちろん、列車の本数が少ない線区であるがゆえに、そういったことができるのだと思われるのだが。「宇和海7号」はこの列車は四国にしかない「アンパンマン列車」だった。車体一面にアンパンマンのキャラクターが描かれている。それはどうかなと思っていたのだが、実物を見るとなかなかかわいいものである。これを見たさに家族連れの乗客が増えたというが、なかなかの戦略である。

松山を出発する頃には青空も消え、すっかり曇っていた。天気予報では午後から雨、その後急激に気温が下がるとのこと、どうも予報は当たりそうな感じだ。山の中をまっすぐにぶち抜いたトンネルを抜けて、11:40内子着。内子駅はもともと内子線というローカル線の終着駅だったが、伊予市から山の中をショートカットする路線ができて、途中駅となった。駅も高架で新しい。松山からも特急で25分程度、きっと便利になったのだろう。駅前のロータリーにSL(C12型)が展示されていたが、屋根もなく雨ざらしになっている様子がよく分かる。ちょっとかわいそうな気もする。

内子は和紙と木蝋の生産でかつて栄えた町で、風情のある建物が軒を連ねているとガイドブックに書いてあった。風情のある町並みを歩くのは好きなので、ちょっと立ち寄ってみようと思ったのだ。また、この町には鯛飯のおいしい店があるというので、昼食もそこで済ませようという考えもあった。古い町並みまで行くのには歩いて20分かかるという。昼食の時間と後で予定しているローカル線の旅との兼ね合いを時刻表で確認するが、古い町並みまで行っていると間に合わないことがわかった。仕方なく、駅から歩いて10分の鯛飯の店と歌舞伎劇場「内子座」を見学するにとどめることにした。駅から歩く道すがら、小学校から集団下校する子供たちに出会うと、あいさつしてくれた。物騒な昨今においては、小学校でも「知らない人を見たら逃げなさい」と教えられるようだが、まだのんびりとした暖かみがここにはある。このような状態を長らく続けてほしいものである。

鯛飯の店に入って早速注文。丼飯一面に鯛の刺身が乗せられており、生卵とダシがかけられている。鯛の刺身が薄いのに若干物足りなさを感じつつも、味にはまあ満足。店を出てすぐに「内子座」があり、外から見学する。愛媛県で最も古い木造芝居小屋であり、なかなか風情のある建物だ。催し物はこの日はなく、翌日からあるようなことが書いてあった。ちょっと残念だったが、次を急ぐため、内子駅へ戻る。列車待ちのため、ホームでしばらくいるとついに雨が降り出した。しかも雨脚は強い。瀬戸内海の景色を楽しむローカル線の旅、ちょっとやばいかも。

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<内子座外観>

次に、12:42内子発の「宇和海9号」で伊予大洲へ向かう。12:51着で、12:58発伊予長浜経由松山行きの普通に乗り換える。この路線がもとの本線だったが、山まわりの路線ができたために普通しか走らないローカル線になってしまったようだ。ちなみにこの列車を逃してしまうと次は14:02までない。海まわりは特に海岸沿いに出る伊予長浜から伊予上灘あたりまでの区間の景色がいいらしい。中でも下灘駅は「青春18きっぷ」のポスターに載った駅であり、一度行ってみたいと思っていたところである。

楽しみにして乗ってみると、意外と乗客が多い。昼まででクラブ活動を終えた高校生が大部分を占めている。伊予大洲を出発してからしばらくの間、もと来た線路を走り、何分か行ったところで突然線路が2つに分かれる。いよいよ海まわり線の始まりである。列車は川沿いに海の方へと下っていく。途中の駅で高校生が4,5人ずつ下車していく。前を見ていると突然警笛の音がけたたましく鳴り響く。何事かと思ったら、人が線路を横切っているではないか。しかも何事もないかのように落ち着いて渡っている。同じJRでも自宅の近所なら間違いなくはね飛ばされてしまう(新快速は130キロ!)ところだが、列車のスピードも40キロほどでのんびりしたものである。

しばらく川を眺めていると逆流し始めているのが見える。そろそろ河口だなと思っていると、伊予長浜駅に到着。ここでほとんどの乗客は降りてしまった。車内に残ったのは10人足らず、本当のローカル線となってしまった。ここで激しく雨が降り始める。伊予大洲では日が差していたのに...。列車は瀬戸内海沿いをゆっくりと進む。海がよく見えるのは結構なのだが、今日の瀬戸内海は激しい風雨に荒波、どう見ても日本海のようだった。穏やかな内海の気候と景色を楽しみにしていたので残念だった。

そして行ってみたかった下灘駅に到着。しかし、あまりの風雨の強さに降りる気力もなく、そのまま乗車し続ける。下灘の近くにある駅からは瀬戸内海が見えるのだが、電線や道路が見えたり木が覆い被さったりしている。ところが、下灘だけは道路が一段低いところを通っているために、駅から見ると電線もなく、瀬戸内海がきれいに見えるようになっている。だからポスターに使われたのだろう。晴れていたらと思うと残念である。

次の伊予上灘で列車の行き違いを行うためしばらく停車。すると、親子連れのお母さんが「子供がお腹が痛いと行っているんですけど少し待ってくれませんか?」と言った。ちなみにこの列車にトイレはなく、乗り通すためには1時間以上トイレを我慢しなければならない。運転士は「3分なら待てるから、どうぞ行ってきてください」と優しく答えた。ダイヤが過密ではないからこそできることであるが、それにしてものんびりしている。急がないことは人同士の関係も温かいものにするのかもしれない。子供がトイレから戻り、何もなかったかのように発車する。途中列車はスピードを上げ時間を取り戻し、ほぼ定刻通りに伊予市に到着。伊予市でこの列車は特急待ちと行き違いのために18分間も停車する。運転しも列車を降り、のんびりと背伸びをしている。

そこでとっさに、伊予鉄道が確かあったなと思い、地図を確認すると道路の向かい側に駅が!郡中港駅というが、そこから伊予鉄道に乗り換えて松山市駅へ。オレンジ色の車体がミカンっぽくて味がある。近郊電車なので景色そのものはこれといって楽しいものはなかった。そうこうするうちに14:40、松山市駅に到着、次はもう一つの楽しみ、路面電車に乗って観光へ出発する。

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(松山の路面電車>

路面電車の旅は松山市駅からスタート。まずはどこに行こうかと思案するが、先ほどの雨の後急激に気温が下がり、風の強さは相変わらずで、寒いことこの上ない。とにかく来た電車に乗る。松山の路面電車は「電車でGO!旅情編」に出てくる路線で、結構遊んだので全線知っているが、やはり実際の景色を見るのはまた格別だ。思ったよりも車が勝手にいろいろな運転をするためにブレーキのかけ方がかなり強めだったり、スピードを結構出す場面もあったり、細かいことに「ほぉー」と感心してしまった(かなりマニアックだな)。

電車は道後温泉行きだったが、まずは町の中心にある松山城にのぼってみることにした。大街道停留所で下車し、ロープウェー乗り場まで5分ほど歩く。そこからロープウェーに乗って山腹まで行き、そこからさらにのぼっていく。天守閣は修復工事だったため360度のパノラマを拝めなかったのは残念だったが、てっぺんまで行かなくても松山の町は十分に見ることができた。しかし、それにしても寒い、天気はよくなったものの風が強く、山の上は吹きさらし状態で、長くはいられずさっさと町まで降りた。

降りてから今度は大街道商店街をぶらぶらするが、これといったものは見出せず、道後温泉に行くことにした。なお、この日は大学の卒業式だったようで、花束を持っている袴姿の女性とスーツ姿の男性をたくさん見かけた。天気がよくなって何よりである。また路面電車に乗り、道後温泉駅へ到着。ちょうど16時で、駅前のからくり時計が動き出した。「坊っちゃん」の登場人物に扮した人が何人かで観光案内をしている。からくり時計が終わってから、道後温泉本館を見に行くことに。車向けの表示板が目の前にあったので、それを目印に急ぐ。が!いきなり呼び込みにつかまった。よく見ると大きな風俗店がある。とにかく呼び込みをかわし、本館へと急ぐ。後でわかったことだが、やはり商店街を通っていくのが正解だった。

いよいよ本館前に到着。伝統を感じる玄関は、それを見るだけでも魅力たっぷりである。さて、風呂に入ろうかとも思ったのだが、荷物を持ったままであることと、何よりあまりに寒すぎてホテルに帰るまでに間違いなく湯冷めしそうだったので、泣く泣くやめた。「言っても風呂やしなあ」などと勝手に思うことにして本館を後にした。それから今度は間違えずに商店街を通っておみやげを買うことにした。和菓子好きの妻のために「一六タルト」を購入。

それから「坊っちゃん列車」に乗るために道後温泉駅へ戻る。「坊っちゃん列車」は昔の格好をした車掌による観光案内付きの列車である。発車まで駅に店でいろいろと見る。子供のために坊っちゃん列車のチョロQと警笛の音を模した笛を購入。子供たちは電車好きなので喜ぶだろう。そして16時59分、いよいよ坊っちゃん列車が発車する。

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<坊ちゃん列車>

この列車、形は明治期の機関車に客車をつないたものなのだが、機関車の動力はディーゼル、モニター付きのハイテクマシンである。客車の内装は落ち着いた木目調、レトロな雰囲気がしっかりと出ている。観光スポットが近づくと車掌が扉を開け、案内をしてくれる。今日はいかにも寒そうで、声もちょっと震え気味である。終点の松山市駅に到着すると、「降りてから列車をしばらく見ておいてくださいね。面白いものが見えますよ」とのこと。

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<人力ターンテーブル>

しばらく見ていると、客車から機関車が外され、人力で押されている。そして、折り返す場所に来ると、なんと機関車がジャッキアップされ、人力でくるりと回されている。そして機関車だけ隣の線路へ移動した。続いて客車がこれまた人によって引っ張られ、ポイントをわたって隣の線路へと移動した。方向転換の作業をすべて人力でやるというのは確かに面白い。いいものを見させてもらった。続いて市内循環線に乗り、JR松山駅へ。市内循環線は、大きな道を行く道後温泉行きとは異なり、建物がすぐ近くにまで立ち並ぶ間を縫うように走る。基本的には鉄道専用線である。途中大学のキャンパスの横を通るが、その近くの駅で卒業した人が乗ってきて、在学生が見送りにきていた。見送る人は路面電車を追いかけて道を走っているのが見え、なかなか面白かった。路面電車だとそれなりについていけるスピードで走るからこそ可能なことである。また、古町駅では、伊予鉄道の電車線を路面電車が斜めに横切っていくという珍しい光景も見ることができた。JR松山駅に着き、そこで夕食をすませ、道後温泉行きの路面電車に乗り、大街道のホテルへと向かう。

ホテルへ向かう電車の中は通勤客でほぼ満員である。路面電車が市民生活にしっかりとけ込んでいるようだ。今でもヨーロッパの都市に行くと、路面電車が街の中心を走っていて、一定の役割をきっちり果たしている。そういえば、日本で言うと、この3月で岐阜市内の路面電車が廃止された。やはり車社会には勝てないということか、残念である(一応断っておくと、私は車を運転するのも大好きだし、車の便利さを否定する気はまったくない)。

今回泊まったホテルは、奥道後温泉からパイプで湯を引っ張ってきているという。道後温泉本館では温泉に入れなかったものの、これがあったのできっぱりとあきらめることができた。温泉は快適で、ゆっくりと入った。今回は一人旅なので、繁華街に飲みに出ることもなく、ホテルでテレビを見たり、メールを送ってみたりとのんびり過ごした。翌日に備えてしっかり寝ることにする。

(その2のページへ続く)。


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